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ルートエフ・データムが生まれて1年が経った。あれやこれやの1年と言ってしまえば月並みな表現になるが、データサイエンティストたちと付き合ってみて、いろいろな発見があった。

まず何と言っても、AIはオートマチックではないこと。分析するためのデータ構築から作業は始まるが、たいてい一筋縄ではいかない。いくつものデータベースからデータを引き出し統合する作業は決して簡単ではない。重複するデータ項目を整備したり、欠損値補完をしたり、あるいは発生確率が著しく低いデフォルト・データなどの不均衡補正をしたりと、プロフェッショナルな経験にもとづく補正作業が延々と続く。さらに、予想すべき事象に結びつきそうなデータ項目を説明変数候補としてクリエートしては追加していく。

最近になって、ちらりほらりと「AIは使えない」という声を聴くようになった。だが、それはきっとAIはオートマチックと思い込んで、経験の少ない(データサイエンティストとは名ばかりの)エンジニアに分析を任せるから、起きることだろう。機械任せではあまり多くを得ることはできない。

加えて、データサイエンスの成果物を業務プロセスに落とし込む創意工夫がない限り、成果物がエンジニアリング・プロダクトとしてどんなに優れていても価値を生まないことも、体験した。

思えば、優れたエンジンだけを求める人は少ない。エンジンにアクセルやブレーキ、ハンドルやフロントパネル、そしてシートや車体を付けてはじめてクルマになる。多くの人はクルマを購入するのであって、エンジン単品ではない。データサイエンスというエンジンにどんなに馬力があっても、コンサルティングを施し経営モデルというクルマにならない限り、経営者は乗りこなせない。一方で、エンジンがよくないと、いくら周りの機能が優れていても、いいクルマとは言えないことも明らかだ。

そうした現実をいくたびも見るにつけ、データサイエンティストとコンサルタントが協働するプロフェッショナル・ファームを目指そうとしたのは大正解だったように思う。ルートエフ・データムはEnterprise Energyを(((management innovation)powered by management consulting)powered by AI)で増大させることを支援するプロフェッショナル集団であり、金融の世界に新しい旋風を巻き起こしたいと思っている。