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監査等委員である取締役(社外)
桑原 稔
Minoru KUWABARA

ルートエフ・データム社はおもに金融機関のクレジット関連審査に資する分析を手掛け、AI処理のプログラムを提供していますが、金融界では様々な用途でAIが活用されつつあります。最近、金融界の方々とお話しをして、ときどき話題になるのがAIによる高齢者対応です。金融庁が「人生100年時代の金融資産形成・管理」というレポートを公表しました。このなかで、高齢期の認知・判断能力の低下や喪失への対応を金融界に求めています。政府も問題の深刻さを懸念しているからにほかなりません。

ある銀行の営業店でのこと。来店して2時間近くも座ったままのご老人がいました。見かねた行員が声をかけたところ、ご自身が何をしに来たか忘れていたそうです。銀行ではこうしたときの対応マニュアルがありますが、認知症が疑われるケースでの対応(ご家族、医療関係者への通知等々)はまちまちで、まだ試行錯誤の状況です。内閣府の高齢者白書によると、認知症が疑われる人は2020年には631万人になると推計されています。2025 年には、団塊の世代が75 歳を迎えます。75 歳を超えると認知症が疑われる比率は急上昇するため、事はさらに深刻になります。店頭での混乱は増えるはずです。

そこでAIの登場です。取引者の行動パターンから、認知症を判断できなかというニーズがあるというのです。銀行の店頭の職員は減少の一途をたどっています。人手不足のなかでの機械化、効率化は避けられません。まず、第一義的にAIの判断で誘導するというもひとつのアイディアでしょう。また、何も店頭だけの問題ではありません。スマホ、パソコンによる取引が拡大しています。今後、認知症が疑われる高齢者の取引も当然、増えてくるはずです。操作のパターンからも認知症の検出が可能かもしれません。

高齢化というキーワードが当社のテーマになるのではないかと予想しております。

(2019/6)


私がまだ若い編集記者のころ金融機関のマーケティング手法を取材していたときに、あるシンクタンクで1枚のプリントを見せてもらいました。それはアメリカの金融機関が使っている取引顧客の属性を分類したマトリックスで、年収、年齢などの分類のほかに保有資産を直感的に理解できるような言葉が羅列されていました。そのなかにBlue bloodという文字があります。直訳すれば名門貴族。聞けばBlue bloodとは白人の富裕層のことでした。白人のコメカミの血管が青く浮き出ている様を表しているとのことから来た用語でした。当時、日本の金融業界ではマーケティングという言葉すらなかった時代。アメリカは本当に進んでいると感嘆したことを覚えています。

マーケティングは劇的に進化を遂げています。日本で最初の、そして最大の成功事例は貸金業の隆盛でしょう。社会問題を引き起こしたことは残念でしたが、スコアリング審査によって返済の可能性を探り、銀行が進出できなかった独自の個人ローンの世界を構築しました。ここまではいわば過去のパターン分析が活用された世界です。

酒巻氏に最初にお会いしたとき、「未来は予測できる」と話されていました。刺激的でした。いまやスコアリングを凌駕する様々なビッグデータも活用したAIを武器にした次世代の未来予想のマーケティングが始まろうとしています。当社は間違いなくその先頭に立つ存在だと確信しております。

(2017/11)


金融ジャーナリスト

1952年 東京 生まれ
1976年 中央大学法学部 卒業
社団法人金融財政事情研究会 入社
事務局次長、週刊「金融財政事情」編集長、編集主幹を歴任
2017年 株式会社フューチャーフィナンシャルコンサルタンツ 常務執行役員、
日本情報多言語発信サイト「nippon.com」シニアエディター
  ルートエフ・データム株式会社 社外取締役
2018年 ルートエフ・データム株式会社 監査等委員である取締役(社外)


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自由化行政苦闘の軌跡―大蔵省銀行局長証言
金融財政事情研究会
2010年・編著