2029年の量子コンピュータ

今年に入って量子コンピュータの世界が賑わっています。現在、話題に上がるのは海外の企業が中心です。「未来のコンピュータ」と言われてる量子コンピュータですが、そんなに遠い未来ではないようです。2029年に果たしてどうなっているのでしょうか? IONQという米国企業が2028年までのロードマップを出していますので、ちょっと覗いてみましょう。

Scaling IonQ’s Quantum Computers: The Roadmap

 

このように2028年には一気にパフォーマンスが上がっています。7年後ですね。果たしてほんとに実現するでしょうか? IONQは米国のスタートアップです。スタートアップといってもNYSE(ニューヨーク証券取引所)でSPAC上場を予定しています。彼らは「イオントラップ」と言う方式を採用しており、この分野では世界最先端を行っています。この方式でハードウエアを作成できるのは全世界でも3社しかないそうです。さらに注目されるのはAWS、 Microsoft Azure そしてGoogle cloudのクラウド大手3社が揃ってこのIONQをクラウド経由で自社のサービスとしてユーザーに提供することです。それだけ性能が良く期待できるということなのでしょう。

今後、量子コンピュータがどう発展して、いつ頃現在のコンピュータを凌駕していくかは専門家の間でも意見が割れています。「実用化は2040年までかかる」と言う専門家もいます。さすがに20年先となるとビジネスに載せるのは難しいですね。ただこのIONQは2023年にラックマウント型の量子コンピュータを出すと言ってます。また、Googleは別の「超伝導量子ゲート方式」を採用しており、Quantum AI campusという拠点を用意して、2029年の商用利用を目指し多額の投資をするとのことです。彼らは量子コンピュータと機械学習の融合を目指しているものと推測されます。量子コンピュータ向けのコンピュータ言語CirqやTensorFlow quantumも現在用意されています。今後どのように量子コンピュータと機械学習がお互いに連携しながら発展していくのかは大変興味深く、あらたなブレークスルーを生む可能性もありますね。Googleでの最新の研究成果はnatureに発表されていました。

Exponential suppression of bit or phase errors with cyclic error correction

 

量子コンピュータの方式は今回ご紹介した以外にもまだいくつか有ります。それぞれ大学の研究室やスタートアップが頑張っており、全部の技術分野を全てフォローするのは正直難しいです。また、欧州や中国も国家レベルで量子コンピュータを進めており、その競争は激しくなってます。日本勢も負けずに頑張って欲しいものです。これからも量子コンピュータの発展から目が離せないですね。 

 

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