モチベーションの源泉

コロナ禍で遠出もできないので、アタマの中のことを書くことにする。

人はモチベーション(内発的動機付け)によって動く。それは根源的であるほど外的要因に左右されにくい。動機は人それぞれで興味深い為、私が人と会話をする際には、何がその人のモチベーションを形作っているのかを探るようにしている。

では、私のモチベーションは何だろうか?

仕事について言えば、現在の私が働く理由は「人との繋がり」である。ここ、ルートエフ・データムへも素晴らしい繋がりでやって来た。いろいろな人とコラボレーションがしたい。地理的に離れていても、多様なディスカッションを通じて刺激を与え合う存在になりたい。新しいこと、いろいろなことにチャレンジしたい。データサイエンスと自由な発想で価値を提供できる存在になりたい。シンプルにプロセスを楽しみたい。

モチベーションが高い人と会話するのは参考になる。彼らに共通しているのは、伝えるべきストーリーを持っていて、アタマの中に明瞭なイメージを持っていること。抽象化と具体化の行き来がスムーズにできる為、複雑なことでも説明が非常に上手い。

モチベーションが高くない人の「やる気スイッチ」を探すのにも気づきがある。その昔、同僚が遅刻して出社したのにも関わらず、出社直後に居眠りを始めた。理由を聞いてみると、自分だけで解決しようとしていて、行き詰まって、やる気を失くしていた。相談や質問するのに苦手意識を持っている人は多く、そこをサポートするだけであっさり解決するケースも少なくない。

身近な人からの言葉もモチベーションの源泉になる。義父からは、何事もゆっくりでいいから丁寧に行うことの大切さを教えられた。義母からは、どこの所属先でもプレゼンスを発揮してきなさいと背中を押された。

子どもの観察からも、本人のこだわりが垣間見れて面白い。息子が漢字ドリルの宿題をやるのに毎日1時間近くかけているのだが、なぜそんなに時間をかけているのかを聞いてみると、先生から花マルをもらう為に一文字、一文字、丁寧に書いているとのこと。また、娘が鉄棒の逆上がりをできるようになるために頑張っているのは、保育園の先生、おじいちゃん・おばあちゃんに褒められたいからであるとのこと。いずれもシンプルではあるが、継続するには十分な理由である。

子どもの例からも明らかな通り、モチベーションの源泉が「人に褒められたいから、認められたいから」というのは多いケースであるが、それが自分の内在的なものに置き換わるのはいつだろうか?自分の場合は、末っ子が生まれた4年前から気持ちに大きな変化があったと記憶している。新しく身を置き始めた業界のオープンさに共感したことが大きいと考える。

読書もモチベーションを刺激する。春先に「宇宙の隠れた形を解き明かした数学者 カラビ予想からポアンカレ予想まで」という本を読んだ。カラビ予想の解決でフィールズ賞を受賞し、「カラビ・ヤウ多様体」で有名なヤウの自伝である。「カラビ・ヤウ多様体」は超弦理論の(10+α)次元時空の余剰次元の有力な候補で、物理と数学が交差する領域の一つでもあり、宇宙、素粒子、微分幾何(特に、複素多様体)、数論(ミラー対称性)などの分野が登場する。また、ヤウはリッチフローを通じてポアンカレ予想の解決にも貢献しており(最終的に解いたのはペレルマン)、難解過ぎて内容は理解できないが、ヤウの聡明さ、守備範囲の広さに感銘を受ける一冊である。

AIよるモチベーションの見える化も近い将来スタンダードになるか?個人の興味・価値観の視覚化に基づいて、近しい人同士をマッチングしたり、適切なアドバイスを行うことによって、各人の能力や創造性がより一層発揮できるようになる世界は素敵だと思う。ちなみに、モチベーションとは少しズレるが、私は定期的に自分の興味マップ(Interest Map)を洗い出すようにしている。アタマの中が整理されるし、自己紹介の際にも重宝している。

以上、とりとめのない話であったが、目まぐるしい日常の中で、普段言葉にしていないことを定期的に言語化することも新しい気づきの機会になってよいかもしれない。

r.s.

 

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