地方都市の公共交通

福井在住となってから原則テレワークで通勤の必要がないこともあり、電車に乗る機会が少なくなりました。福井県は1世帯当たり自動車保有台数が全国1位の車依存社会なのですが、一方で利用者が増加している鉄道路線もあるようです。

福井県内には、JR(北陸本線、小浜線、越美北線)、第三セクターのえちぜん鉄道、福井鉄道があります。小浜線は敦賀から小浜を経由して舞鶴まで、越美北線は福井駅から越前大野~九頭竜湖までの路線です。小浜線、越美北線の利用者はこの20年間で30%~40%減少し、コロナの影響もあり10月のダイヤ改正でともに減便となってしまいました。

越美北線の終着駅
九頭竜湖駅前

一方、福井市内とその近郊を走るえちぜん鉄道、福井鉄道は近年利用者が増加しつつあります。2019年は最も輸送人数が少ない年に比べ、それぞれ49%、24%増加しています。これらの路線では、パーク&ライドのための駐車場の整備、相互乗り入れによる乗継の解消、駅の整備など、利用者の利便性向上のためいろいろな施策が実施されています。

自治体が支援に積極的なのは、「負の社会実験」の影響が大きいようです。えちぜん鉄道の前身京福電鉄は2000年~2001年の半年の間に2回の列車衝突事故を起こし、2回目の事故後国土交通省により即時運行停止となりました。通勤通学に電車を利用していた沿線住民はバスや車を使うことになり、周辺の道路で渋滞が発生するなどの問題が生じました。これによって鉄道の重要性が再認識され、沿線の自治体が中心となってえちぜん鉄道として再建し、2003年から運転が再開されたという経緯があります。

えちぜん鉄道には、乗車券の販売・回収や車内アナウンス、乗降時のサポートを行うアテンダントが乗務しています。2018年に公開された映画『えちてつ物語〜わたし、故郷に帰ってきました。』は横澤夏子さんがアテンダント役で出演し、一時は廃線になった鉄道が復活した経緯も描かれています。沿線の観光名所も登場するので、福井にいらっしゃるご予定のある方はぜひご覧ください。

公共交通機関は車を利用できない学生や高齢者にとって不可欠であり、また温暖化対策にも大きく貢献するものです。微力ながら、機会があれば電車に乗ることで路線の存続に協力していきたいと思います。

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