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データモデルによる産業構造論的法制度設計

理系人間なら誰しも覚えているであろうことは、中学1年の時の衝撃。ニュートンの運動方程式 F=ma 。

なんだ、これは!?と思わず、驚いたのではないか。複雑に見える世界を単純な数式で表現できるなんて、思ってもみなかった!!!感嘆符をいくら重ねてつけても足りないくらいの衝撃だった。

これは、自然科学の世界に限らない。実は、いろいろな産業を数式でモデル化していくことができる。

たとえば、銀行業。とくに地方銀行はモデル化しやすい。

地方銀行の収益は貸出残高×貸出金利でニアリー・イコール。貸出残高は、生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)と密接に関係している。借りたおカネは働いて返すのが基本だからだ。貸出金利は、預貸ギャップ(預金残高という資金供給と、貸出残高という資金需要の差額)との関係が、日本銀行の統計データベースが整理されて以降、営々と続いている。預金残高は、50代以降のシニア層の1人当たりの預金残高が大きいので、シニア層の増減が解れば、おおよそ掴める。そのうえで、預金残高という資金供給量と貸出残高という資金需要の差額は、資金利鞘に結びついている。資金利鞘とは、貸出金利と預金金利の差であるが今では預金金利は概ねゼロの水準貸出金利と資金利鞘はイコールと思ってもいい。だから、貸出金利も実は人口連動だということだ。


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一方、コストはどうかといえば、個々の地方銀行の貸出残高と密接に結びついている。預金残高と営業経費は2次曲線で近似すると、強い相関関係がみられる。だから、こちらも人口が鍵を握ることになる。


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こうした考察を積み上げていくと、複雑にみえる地方銀行の産業特性を把握することができる。特にこれから人口減少が加速する地方にあって、地方銀行が生き残っていくことができるかどうか、評価していくことができるようになる。

理系の方々は、あまり関心がない世界かもしれないが、実は独占禁止法は昨年、特例法が施行された。特例法が生まれた背景は、ここで説明した定量モデルによるシミュレーションが大きく貢献していた。競争が成り立たない地域(2行以上のコストを賄えるだけの収益が生まれない地域市場)は、人口減少が進めば確実に生まれ、競争を通じて顧客のベネフィットを守るという独占禁止法の考え方は、決してAll Mightyではないことを明らかにしていったからだ。ある種の法律をデザインする方法論として、定量モデル化が起点になるなんて、理系の人間から見れば興味津々なことではないか。

地方銀行に限らず、法制度を決めるうえで定量モデル化が大きく寄与する分野はいくつもある。

たとえば、電気通信業(電話サービス)である。みなさんの電話料金明細にあるユニバーサルサービス料金は、電話サービスの構造を定量モデル化した賜物である。また、電力産業は、海外に倣って発電・送電・配電・小売りに機能分解していくことが、競争ルールのように扱われるが、再生可能エネルギーがあまり活用されていなかった東日本大震災前は、東日本においては東京電力の発電キャパシティのシェアが大きすぎて機能分化しても競争が成立しない状況にあった。これは年間8,760時間の需給データの分析から明らかにされたことである。

一見、法制度はイデオロギーにもとづいて、あるいは社会のコンセンサスにもとづいて決まっていくように思われがちだ。しかし、イデオロギーやコンセンサスの方向が経済的に成立しえないものであれば、法制度を変えていくことが不可避となる。産業の定量モデル化は、経済法においては重要な起点となのである。

でも、法制度の起点が産業の定量モデル化なんて、気づいている人はほとんどいない。だからこそ、フロンティアであって、我々が組みしていく必然性があると考えています。



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